バスフィッシングフィールドで重要なキーポイントとなってくるのが、水生植物の存在です。
「アシ」「ガマ」「ウィード」等が主要な植物でしょうか。そこには、豊かな生態系が営まれ、魚達の恰好の隠れ家ともなるわけです。ということは、釣り人にとっては『ポイント』となることに他なりません。
そして、近年の牛久沼で見逃せない存在となっていたのが「リリィパット」・・・「ハス(蓮)」でした。そのハスに異常ありなわけですが、それは牛久沼に限ったことではないようなのです。
■目次
大繁茂していた牛久沼のハスが壊滅状態に
2015年から本格的にブログをスタートしたので、ホームレイクである牛久沼の風景を毎月写真で収めていました。それは、この3年間の牛久沼の植物たちの植生の変化を見てきた3年間でもあるのです。
ハスの異常・・・釣り人だけでなく周辺地域にもインパクトのある変化だったようです。
牛久沼で繁茂していたハスが今年は忽然と姿を消しました。バス釣りにおける戦略にも影響が… https://t.co/pEjctBR4m9
— ナマロー(namaroblog.com) (@nama_ryu) October 27, 2017
つくば地域の情報を発信しているWEBサイト「NEWSつくば」に『突然ハスが消えた!』という記事がUPされていました。
牛久沼に流入する谷田川から今夏、突然ハスが消えた。ハス消滅は全国各地で起きている。地元、つくば市森の里団地住民の間で謎が深まっている。
谷田川…牛久沼は東と西から流れ込む川で成り立っており、その川にハスの大群生がみられていました。そのハスが今年・2017年に忽然と姿を消してしまったのです。
痕跡と言える、根っこなどは少しは見かけれるものの、西谷田川にあったハスはほぼ消滅。東谷田川上流…キャノンの向上近辺もこのままではハスで沼が覆ってしまうのでは?と思われるほどの群生を見せていたのですがほぼ消失。たまやボート屋近辺はちょろちょろと残っていますが、来年はもつのかどうか・・・
これまで、撮影していた写真をもとにこの3年を追ってみることにします。
2015年…牛久沼のハスの大群生
この年のハスの生え方がピークでした。
ボート屋の前はハスが大繁殖。ボートが通る「道」をたまやボートのオヤジさんがハスを刈っていかないと釣り人たちがオープンな場所に出ていくことができないほどでした。
茎部分も本当に太く頑丈。ボートが浸入することを拒むほどのハスに夏ともなると成長していていました。(エレキ付きボートでの侵入は不可能)
たまや上流にある、つかもとボート前にもハスの群生が見られました。その他にも、東谷田川の茎崎橋上流、西谷田川の細見橋上流にも見事なハスたちが見ることができました。
秋の減水状態ともなるとハスの茎が丸出しになってその高さは人の背ほどにもなりました。
茎のハリもあって元気だったハスたちの様子です。
2016年もまだ元気だった。ハスパターンも成立!?していた。
2016年もハスたちは元気でした。
行く手を阻むハスはまだまだ存在していました。
ハス群生地の中はいったいどうなっているのか?釣れるのか?アングラーたちの興味はそこに集中していたのですが、この年はハスの中を上手に攻略した選手たちに結果が出てきました。
フロッグでドバンとだしてきた選手も。
特にこの牛久沼たまやボート大会では横井選手が8月~10月大会においてなんと驚異の3連勝を飾りました。
その攻め方はシークレットなのですが、そこに大きいバスたちがいたことは確かでした。
ハス中が釣れた理由は・・・おそらくは・・・
「光合成による酸素量の増大」「ベイトが豊富」「日陰(シェード)ができた」「カワウといった外敵から身を守れた」
などの理由が挙げられるのではないでしょうか。たまやのオヤジさんも「ハスの中には絶対にバスがいっぱいいるでしょ」と言っていましたし。そして、結果も出ていました。(詳細についてはシークレットのまま。)
これは来年・2017年もハスパターンが続くのかもな…そう思っていたのですが…
2017年はハスが激減。消失エリアも。
まさに驚きの状況となったのは、先ほどご紹介した「NEWSつくば」にもあった通り。たまやボート前のハスはまだ残っていますが・・・東谷田川上流と西谷田川上流の大群生地はほぼほぼハスは消失・・・
たまや前も大分かわりました。難攻不落だった2015年の写真と比べてみても・・・
今年はこうでした・・・
ハスはあるものの、中を探ることができるほどよい量のハスの植生に。なお、ハスまわりにはバスたちはたくさんいるのは本当で、この釣りやすくなったハスまわりを上手に釣ってくるレジェンド高橋さん(H-1グランプリ三連覇!)が好釣果を上げているのはこのブログをお読みの方ならご存知の通り…
そして驚くべきことにこのハスの減少傾向は、牛久沼に限ったことではなく全国的な出来事となっているようです。
琵琶湖では赤野井のハスが消失
赤野井・烏丸半島地区と言えばバス釣りをやっている人なら聞いたことがあるエリアですよね。一般の人たちからはハスの群生地として知られ、花が咲く季節ともなるとたくさんの人が湖畔に訪れる観光資源ともなっていたのです。
京都新聞2017年6月1日リリース:琵琶湖ハス消滅「復元不可能」 専門家報告書、粘土層が消失
滋賀県草津市は31日、昨夏に烏丸半島で消滅したハスに関する調査結果を発表した。姿を消した主な原因として、土質の変化による粘土層の消失やメタンガス濃度の上昇などが挙げられた。
こちらに繁茂していたハスが丸っきり消失してしまったようなのです。自治体が要請した専門家の調査によると
①「メタンガス濃度上昇による土壌の酸素不足」
②「粘土層の消失」
が主な原因で複合的な要素が折り重なり消失したとあるのですが…果たして、通常の環境変化で1年でここまでの消失はあるものなのでしょうか。
ハス消失の原因は何なのか?
ハス消失の原因はTwitterでも侃侃諤諤となったのですがいくつかの説が挙げられます。(Twitterはこうした議論の場にもなりうる面白さがありますね。)
動物による食害説
牛久沼たまやのオヤジさんが言っていた一説でもあります。今年の牛久沼に大発生したのがミドリガメの俗称で知られるミシシッピアカミミガメ。このカメが、ありえないほど大量に定置網に入るそうなのです。
ミドリガメは雑食性で、ハスの茎も食い荒らすと言われていて、そのカメが生えてくる茎の若芽をことごとく食べてしまったのでは…と言う話です。
確かにカメによる食害はあるかもしれませんが・・・だとしたら琵琶湖でもミドリガメの大繁殖が確認されているはず。この説はちょっと低いかなと僕は考えています。どうでしょうか。
なお、ソウギョの説もありますが牛久沼ではソウギョの棲息は確認されていません。雄蛇が池では、ソウギョのせいで豊富な水生植物たちが壊滅してしまったと言います。人の手による自然のコントロールは本当に難しい。
土壌変化説
先ほどの京都の専門家の調査による結論がこれですね。メタンガスの増加、粘土層の喪失・・・そんなことが1年であるのか!?と言われれば・・・ある可能性は否定できないと思います。
こちらの画像をご覧いただきたい。
ハクチョウたちが羽を休めているのどかな画像・・・なのですが、この湖上にある島状の浅瀬は数年前にはありませんでした。
泥底で形成されていている牛久沼なわけですが、こうした急な隆起が突如として起きるのが特徴です。表面を見てみると、ガスが噴き出たような穴が無数に空いているのが、また不気味なのです。
この現象は、実感として東日本大震災以降に多く見られている気がしてなりません。(それまでも、時折「謎の島ができた」と言う話はありましたが…)
まさにこれこそが、琵琶湖でおこったハスの消失の原因と見られている「メタンガスの増加による土質の変化」によるものと言えるのではないでしょうか。
まだまだハスが生えていた2016年も、帯状にハスが生えていない場所ができたりしており、この地殻変動による土壌変化説は可能性としては濃厚です。地球は生きています。
流行病があったのではないか?と言う説も
ゾンビものにハマっている自分からすると「ウォーキングデッド」のように1年足らずで全国的にアウトブレイクがハスに起こり、一気に絶滅状態へ追い込まれたのではないか…とする話はあながち嘘ではないかとも思っています。
たった1年で一瞬で植物が消えてしまう。もし、流行病…ウィルス的なものが原因であったらハスそのものの危機にほかなりません。水は繋がっていますから、ハスの絶滅にでも繋がったら大変なことになります。それこそ、水際作戦は成立するものなのでしょうか。
とは言え、ハスの種は時間を経ても発芽をする大変タフな植物であることも知られています。たとえ、病気が流行っても状態が落ち着いたころに急にまた生えてくるのかもしれません。
サカナばかり見てないでハスも観ていこう
そういわれてみると、キレイな蓮華の花を咲かせていたハスを写真で撮影することがなかったことが悔やまれます。
ハスは、極楽浄土など仏教的な絵画でも象徴的に描かれる「聖なる花」でもあります。そして、地下茎はレンコンとして食べられている大変ポピュラーな野菜でもありますよね。(レンコン大丈夫なのかな!?)
牛久沼ローカルとしてはハスの植生についても、バス釣りに行った際には追いかけていきたいと思います。このままだと、幻の存在になりかねませんが・・・